音源の特定

騒音がどこから出ているのか? また、音源が何なのかを突き止めるのは難しい問題です。
先の掃除機では、FFT処理により幾つかの卓越した音を見つけることができました。
また、SeeSV205S音源カメラによりそれぞれの音の位置を可視化することができました。しかし、掃除機のように音源が内部にもある場合、音源カメラだけでは音源を確定させることができません。
音源の特定を考えてみます。

特定の手順を、次のように考えます。

drawit-diagram

騒音の種類

先入観を持って調べることは、大切でもあり、発想の自由度を失う危険も伴いますが、FANのような回転機械を持つ機器の騒音を考えてみます。

素人の知識の域をでませんが、概ね次のような区分になるように思います。

drawit-diagram-1
 
drawit-diagram-2
 

回り道…(参考)

ここまで、実際の掃除機を対象に考えてきました。

音源探索を進める上で、一旦 もう少しシンプルな対象で実験と計測を進めてみたいと思います。

sirocco fan

シロッコファン

定格電圧12V
ブレード枚数55
スポーク3
定格回転速度6300min-1
最大風量(m3/min)0.305m3/min
最大風量(CFM)10.777CFM
最大静圧(Pa)228Pa
最大静圧(inchH2O)0.916inchH2O
音圧(dB[A])42dB(A)
N04_fan002

写真のシロッコファンの音を録ります。

FFT処理を行い、周波数の分布からその音が何によるものなのかを考えてみます。

ファンは、送風機のうち圧力比1.1以下のもの、
ブロワは、送風機のうち圧力比1.1 – 2程度のもの
を指します。

また、圧力上昇が
0.1kgf/cm2(0.01MPa,1mH2O )以下のものをファンと呼び、
0.01-0.1MPa,1-10mH2O のものをブロアとも定義されています。
(改正後の定義では送風機はファンと同義となり、ブロワは圧縮機の扱いとなったそうですが)
ということで、これは0.0232mH2Oなのでブロワではなく、ファンと呼ぶことにします。

– 1mH2O = 9806.65 Pa
– 1inchH2O = 249.0899 Pa

N04_fan003

サイズが分かったから何か分かるわけではないと思いますが、寸法を書いておきます。
 
さて、このファンをコントローラーに接続して回し、音を録ります。
コントローラーの仕様は下記のとおりです。
 DC入力 12V
 DC出力5.5-10.5V 
 300mmA
暗騒音 測定音比較
低回転 ダクト有無比較
スマホで録った音にFFT処理をしました。

マイク特性から4kHzの値には疑問が生じますが1kHz以下の卓越音は確認することができます。
さて、この音は何の音でしょうか?

シロッコファンの翼通過騒音NZは、線状の卓越ではなく山形の音圧分布を形成します。

回転数 測定より4500rpm前後です。
NZ 55(枚)*4500(rpm)/60(Sec)*n=4125n
羽根車のスポーク 3*4500/60*n=225n
ケーシングのスポーク :3
スポークの干渉 225*3=675
モーターの回転成分 :75
モーターの極成分(4P4SLOT) 75*4=300
– 1000Hz以下の卓越音は、モーターの回転成分によるものと ここでは考えておきます。

卓越音カット

基本音からモーターの成分と考えられる300,600,900の周波数を削除しました。
実際の音から全体の音を20dB増幅しています。


基本音

卓越音カット

回転数とは関係なく生じる120、890Hzの音は何でしょう?
 

基本音測定時の回転数から相似則を用いて風量を予測します。
( 参考:オンラインツール “相似則を用いたファン特性計算表”)

空気流量(Q) : 3.63E-03 m3/s
ファン静圧(PS) : 116.327 Pa
騒音レベル(dB) : 32.356


吹出口の大きさは、20mmx20mmですので平均流速は、9.08m/s となります。

スリット風切音(周波数)= St * v / D = 0.2 * 9.08 / 0.02 = 90.8Hz

D:流れの特性長さ
v:流れの特性速さ
St:ストローハル数(0.2)

相当する周波数はなさそうです。

ダクトの固有振動
ダクトの固有振動は、簡易計算では右の結果となりました。